コラム
column
名残と旬と走り
さて料理屋には料理を組み立てる時に
「名残り」「走り」なんて事を気にしながら
造って行くことがあります。
意味合いは旬の終わりに近づきつつある食材と
これから旬を迎える食材をいち早くとり入れ
一つの料理にする事です。
わかりやすい例でいうと
「鱧と松茸の土瓶蒸し」でしょうか?
鱧は元々、京都あたりでは「雨水を飲んで美味しくなる」
といわれるように旬は6月位から8月位が旬でしょうか。
また松茸は8月に採られる松茸を「早松茸」といい
貴重な物とされています。
その鱧の名残りと松茸の走りを一つにして旨味を楽しむのが
まさに「松茸の土瓶蒸し」といわれています。
また鮎なども走りから旬を長く楽しめる食材です。
6月前の小さな頃は稚鮎として唐揚げなどに
さらにその前は「せごし」など
その小さくも清涼な風味を楽しめます。
そして旬に入ると、その川の苔の香りを纏い
環境に左右されながらその品質を高めていきます。
その素晴らしい環境で育った鮎は
薄化粧の塩を纏い「たで酢」と共に炭で焼かれ
ワタの苦みと川の薫りと清らかな旨味をお楽しみ頂けます。
最後に秋の声を聞くと子を腹に持ち始め
「子持ち鮎」となります。
これは塩ではなく醤油焼や煮物として炊くとまた一風変わった
鮎の奥深さを味わえます。
この様に料理屋は全て食材の「走り」「旬」「名残り」
を組み合わせながら遊び心も加えて料理を構成していきます。
科学の進歩で冷凍技術が進み食材の品質が保たれるのは理解します。
しかしながら歳時記と共にその季節の一瞬を切り抜いた料理を食べる。
これは身体だけでなく心の健康にも良い作用があるように思えます。
山口楼ではその事を心がけ毎日、違う献立を皆様に提供しています。
山口楼 五代目 山口晃平
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