コラム
column

2019.08.19

名残りと走り


料亭を語るにおいて重要な言葉があります。

それは「名残り」と「走り」

名残りとはその物の旬が終わろうとしている時。

走りとはその物の旬が今まさに始まろうとしている時。

四季の移ろいを淡く表現する料亭にとって大切な言葉です。

それはお部屋の設えはもちろん食材にも使われ

ちょうど今、夏が終わり切なく秋を迎える準備をする今に

良くあてはまります。

こちらは鱧と潤菜のお椀。名残りのお椀です。

例えば鱧と松茸なんて今から9月上旬までがまさに

走りと名残り。

この2つを一つのお椀で頂くとは、なんと風流な事でしょう。

皆様も行きつけのお店で新物を見た時に

「おっ 走りですね」なんて言ったら調理長は目が光るかもしれません。

写真は鱧と松茸と常陸牛のしゃぶ。

まさに名残りと走りのひと品です。